ポップ meets アート

こんにちは。デザイナーのばたやんです。

現在META+MANIERAではオンラインガレージセールを開催中です。歴代デザイナーたちがセレクトしてきた参考書籍やアートブック、他にも懐かしの蔵書や、仕事として手掛けたものなど、30年以上に亘るストック図書を順次出品していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

さてこちらはガレージセールで販売中の一冊(売切れてたらごめんなさいです)。

「アンディ・ウォーホル展 永遠の15分」(美術出版社、2014年)

2014年に森美術館開館10周年を記念して開催されたウォーホル回顧展の図録&論考集です。展示会場で、冷めやらぬ高揚感にまかせ購入してしまうと帰り道やや後悔するかもしれない重量感。それでも、自分の指に食い込む重みもふくめて、作品が展示された空間に足を運んで鑑賞し、戦利品を持ち帰るというところまでがイベントの醍醐味、参戦感ですよね。ちなみにオンラインガレージセールでご購入いただければ……送料無料で、ご自宅に届きます!(しつこく宣伝)


アートの見方に正解はあるのか

全国各地でコロナ禍における自粛が緩和され、延期や中止を余儀なくされていた美術展やアート関連イベントも再開されつつあります。遠出や人ごみ、賑やかな対話等が憚られるなか、比較的ハードルの低いお出かけ先として、この夏人気を集めるのではないでしょうか。

ただ、これまでも美術展には足を運んできたけれど……正直よくわかってないかも。アートって、むずかしい。どう見るのが正解なの?

このように感じたことのある人も少なくないでしょう。


昔、初めてウォーホルの展覧会を見たときの私もそうでした。

(え、これって……アート……なの?)

そうとも違うとも言い切れないまま長年にわたって思考停止していたことを、この図録を手にして思い出したのです。


問題を解く側、つくる側

スーパーの棚に並ぶスープ缶、そのパッケージデザインや広告デザインと、ギャラリーに飾られる彼の作品と。なにが違うのでしょうか。大変に遅まきながら私なりに考えてみたわけですが、それは「出題者」と「解答者」の違い、ではないでしょうか。

スーパーの棚でこのスープ缶を見て「なぜこれがここにあるの?」という人はいないでしょう。そして店頭に並んだ時に目を引くよう、パッケージのデザインは考えられています。「なぜこの色、この位置や形にするのか?」……これらの問いは見る側のものではなく、デザイナーの課題。デザイナーは問題を解く人です。

一方、ギャラリーの壁一面にひたすら並んだスープ缶の絵はどうだったでしょうか。「なぜ、この場にこれが?」「どういう意味があるの?」など、見る者それぞれに、さまざまな問いが生まれます。つまりアーティストとは問題を出す人なのです。

ふりだしに戻りますね。

「これらは、果たしてアートといえるのだろうか?」

ウォーホルたちが見る側にこの大きな問いを投げかけたことで、ヴィンテージクラフトやハイアートだけが鑑賞や評価の対象とされてきた歴史が変わりました。以降、ポップアートはハイアートと肩を並べ、アートの一翼を担うものとして認識されることになったのです。歴史を変える問いを生み出したのですから、それはもうアートでしかあり得ない、というのが今の私が出した答えです。

問題は解くよりもつくる方がはるかに難しいと聞きます。アートだから難解、なのではなく。問いを生み出す側に立てたものこそが、アートたり得るのかもしれません。アートの見方というものがあるとするならば、作品が投げかける問いと対話して「自分なりの答えを出す」ということかな、と思いました。


ちなみに。

弊社が長年アートディレクションを担当してきた「週刊ザ・テレビジョン」(KADOKAWA発行)ですが、カバーフォトの撮影時、被写体となるタレントさんに「レモン」を持ってもらうという習わし(?) があります。「週刊誌らしいフレッシュさをレモンで表現しつつ、ザテレビジョンオリジナルの写真であることの証」という公式ステートメントはあるのですが……「ん?なんで?」という問いを生みがちという点で、なかなかにアートな試みなのではないかと思います。


画像はぱくたそさんからお借りしました。「なぜに、レモンなのか?」を考察するブログや、パロディが多数存在するようなので、よかったら検索してみてくださいね。


manimani Media

変わるデザイン。変わらないデザイン グラフィック/エディトリアル/企画・編集/Web/動画...各種メディアにトータルクリエイティブを展開するデザイン会社の日常。

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