ランニングと熱中症とマスクとコロナ

編集長のSSUZUKIでございます。 デザイン業をしているとほぼ1日、座って過ごすことになり、意識して体を動かすためにランニングを日課としています。 ことが起きたのは少し前、5月の突然の夏日。その日はグングンと気温が上がっており、(この時は全く気にも止めず、やめておけば良いのに)一番気温が高くなった時間に、いつものように走りに行ってしまったのです。 その頃、ベルギー・オランダの研究者が、ランニングによって10メートルほど飛沫を撒き散らしてしまうという研究結果を発表。ニュースで報道され、ランニング中もマスクをした方が良いという世の中の流れの時期でした。しかし、2020年6月16日、世界保健機関(WHO)は運動時にはマスクを着用すべきではないと提言し、6月15日には日本感染症学会と日本環境感染学会の一般市民向けの合同提言の中で「ジョギングする場合にはマスクは必ずしも必要ではありません。」と述べているようです。 ですが当時はランナーのマナーだと思い、その日もガッチリとネックウォーマーで顔まわりを覆って走り始めました。途中、「やけに疲れるな~、でも今日はかなり暑いからそのせいかな?」と思いながら走り切り、帰宅しました。そしてシャワーを浴び、昼食を摂ろうとしたら、とてつもない疲労感で食欲が湧かない。 そうです、思いっきり熱中症になってしまったのです。この時点ではそうと思わず、妻に「やっぱ暑いと食欲無くなってヤセるな!」などと間抜けなことを言っていたのですが、みるみる体温が上がり、気付いたら39度。しかも厄介なことに体温調節がうまくできていないのか、暑いか、寒いかも分からなくなり、かなり苦しくまさに地獄でした。身を持って「運動時にはマスクを着用すべきではない」と体感してしまいました(笑)。


WHOが運動時にはマスクを着用すべきではないと言ってるとはいえ、人とすれ違うときなどは気を使ってしまうし、使用していたネックウォーマーが冬用の暖かい素材のものなので時期的にも限界がきており(そんなのガッチリつけたらそりゃ熱中症にもなるか(笑))、ネックウォーマーに変わるマスクになるものはないかな?と考えたところ、普段ハンカチがわりに使っているバンダナがいいのでは?素材も薄いし、首に垂らしておいて、人が近くにいるときだけひょいとあげて顔を覆えばちょうどいい! 首に巻いておけば、夏の日差しをモロに受けることもなくなるので一石二鳥と思いつき、現在はバンダナを着けて走っております。 


バンダナの2つのルーツ

ここで少し、そのバンダナのルーツについて調べてみました。実はバンダナには、実用的なモノとしての側面とデザインの側面の2つのルーツがあるそうです。

1つめのルーツはどこにあるのでしょうか。 ずばりメキシコです。16世紀ごろのメキシコの農業従事者たちは、炎天下で作業を行っていました。その再に首元の日焼け防止のために使っていたモノがバンダナです。なぜなら当時の人たちは襟がないシャツを着ていて、このバンダナを首元に巻くことで体を守っていたようです。 なんとランニングでの使用方法が合っていました! その後、西部開拓時代(19世紀ごろ)のアメリカでカウボーイたちが砂ぼこり対策や顔を隠す覆面に使ったり(この使い方も?いや、これは違うか(笑)!)ケガをしたときの止血に使っていたようです。 2つめのデザインのルーツは、「バンダナ」語源から読み解くことができます。「バンダナ」の語源は、ヒンドゥー語の「bandhnu(バンドゥヌまたはグンドゥヌ)」からきていて、バンドゥヌはヒンドゥー語で絞り染めや更紗模様で染めた木綿布を意味します。この木綿布がヨーロッパに伝わり、現在のバンダナへ繋がると考えられています。また、インドのカシミール地方のカシミア・ショール(肩から掛けたり、頭からかぶって着用する布・衣類)に用いられていた伝統的な文様であるカシミール文様は、19世紀ごろのイギリス・ペイズリー市でのカシミール・ショールの大量生産時に用いられています。 そしてカシミール文様は、この大量生産以後ペイズリー柄として定着していったようです。ペイズリーの形はゾウリムシやミドリムシ、松かさ、ザクロ、マンゴーなど様々なものがモチーフであるとされ、模様自体は糸杉や菩提樹など、生命力をテーマにしているといわれています。


バンダナの代表的な柄

●ペイズリー柄

↑1947年にアメリカ合衆国South Carolinaで創業されたバンダナレーベル「HAV-A-HANK(ハバハンク)」。多くのブランドが生産を海外に移すなか、今もMADE IN U.S.Aを残す貴重なバンダナメーカー。

前述したように一番有名な柄はこのペイズリー柄ですね。ペイズリーや花、植物を模したデザインを基本・基調としてアレンジされた多数のバリエーションがあります。ペイズリーなどの植物を基調とした柄でもクラシックな柄から独創的なデザインやアレンジの柄もみられます。


●ドット柄

ドット柄は1940年代の後半から1950年代頃に流行していたようです。ドットを基調としていても、ドットの組み合わせ方、大きさのバリエーションを加わることで、本当に色々な種類の柄があります。ドット柄は、希少性が高く、市場でも人気がありますが、僕が所有しているものはヴィンテージものではないので全然価値はありません(笑)。


広告、販売促進

1940年代頃から有名ブランドもバンダナの生産を始めます。その意図としてはもちろん、バンダナ本来の使用目的もあったと思うのですが、それよりも販売促進用いわゆるノベルティという目的が大きかったのではないかと考えられます。どのブランドも販促物、広告物として、かなりしっかりとデザインされており、どれも秀逸です。

(META+MANIERAでもノベルティ制作のデザイン請負もやっておりますので、ご興味ある方はお問い合わせいただければと思います。お問い合わせはこちら!) 



こちらは、アメリカのバンド、グレイトフル・デッド のもの。左がMade in India、右の2つがMade in Chinaです。Made in Indiaのものは一見何の関係もなくデザインされてるようで、随所に伝統的なモチーフを絡めてデザインされています。一方、右の2つはMade in Chinaの表記部分の「in」と「China」の文字がかなり詰まっていてMade inChinaと読めたり、ただひたすらにダンシングベアやロゴなどをちりばめただけでかなり適当!でもこのちゃちさ嫌いじゃないです! と、この様にバンダナと言っても多種多様です。

↑2002年の18年ものですが、ヴィンテージと比べるとまだまだひよっこ。


ちょっと、番外編

↑こちらも「HAV-A-HANK(ハバハンク)」のもの。

これは未裁断のバンダナ。本来なら通常のバンダナが6枚取れるサイズ。10数年前に原宿のBEAMSで面白かったので購入したものですが、なかなか出てこない、ちょっとしたレアものみたいです。寒いときにストールにしたり、ラグマットにしたりと意外と使い勝手良く重宝しています。  


途中から、すっかりバンダナの話になってしまいましたね。最後にランニングの話に戻りますが、健康のための運動が健康を害しては本末転倒ですので、無理しすぎない程度に体を動かし、今年の夏も乗り切りたいものです。それでは!


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