みかんを巡る冒険
こんにちは、デザイナーのすうぇけです。
わが家には今、とある2つのみかんがあります。
わたしがみかんの産地、愛媛県出身だからではありません。収穫が一番早い、極早生みかんでも出回るのは秋からなので、この時期にあるみかんとは……?ちなみに、うちにあるみかんは一年中あります。
ひとつめのみかん
これは「ミイラ化したみかん」。
色が変わって軽石のように硬くなっています。もう7年くらい経つのではないでしょうか。この姿に、わたしはなぜか惹かれるのです。
こうなるには、おそらく何かしらの法則性があって、それが色を変えさせたり、形をいびつにしたり、表面のブツブツをより際立たせていったのでしょう。こんな見た目に仕上げたのは、もちろんわたしの指示ではなく、自然が行うデザインのようなものだと思いました。
はたして、このみかんは生きているのか?死んでいるのか?
本来、みかんの表面には「油胞(ゆほう)」と呼ばれるぶつぶつがあります。みかんの皮を二つ折りにすると飛び出して、目に入るとしみる成分ですね。それは実になる前の花のときから存在し、受粉の季節に花粉を運んでもらうため、虫が好む匂いになっています。一方、実ができてからは種を守るために虫が嫌う匂いに変えていきます。みかんの表面のぶつぶつは、とても大事な生きる知恵が表出したものなのです。
それが今や、油胞はなくなり、大きなぶつぶつが覗いてくる。きっと細胞は死んでいるだろう、でも物質的には今のところずっとある。わたしとみかんが出会った以上、本当は食べて命をもらうことが、このみかんを生かすことだっただろう。でも、こうしてミイラになったみかんの表面からは、わたしにはより強くみかんの生きた証が見えてきます。
もうひとつのみかん
さて、文頭でわが家には今、2つのみかんがあると言いましたね。
もうひとつはこちらです。
つやつやでとっても美味しそうなみかん。でも、その姿はまぼろしです。
これは地元愛媛で買った、みかんのペン立てなのでした!「みかん=食べもの」という概念を使った遊びです。
今日はそんなみかんを巡る冒険をお送りしました。
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