アールブリュット
デザイナーのm.k.です。
「アール・ブリュット」の意味をご存知でしょうか。
「加工されていない芸術」という意味のフランス語「art brut」が語源です。
フランス語の「brut」が「生のまま、自然のまま」という意味であることから、
「生(き)の芸術」とも訳されます。
専門的な美術教育を受けていない人が、
湧き上がる衝動に従って自分のために制作するアートを意味する美術用語です。
アール・ブリュットの芸術家の多くは、
精神的・知的障害を持つ人ですが、刑務所の受刑者などもいます。
絵画や造形作品、民族芸術など、多岐にわたる分野の作品があります。
(引用)
ということですが、まさに的を得たネーミングに深く肯けました。
デザイナーのm.k.です。
先日、アールブリュット展を観てきました。
とにかくどの作品もオリジナリティー溢れた独特の世界観と
圧倒的なエネルギーを感じさせるものばかりで、見応えがありました。
…と、文字に起こすとありきたりな感想文にしかならず、
いまいち伝えきれていないような歯痒い思いがあります。
↑ 大学4年生の頃から自分の考えを毎日書き続けた「脳ノート」で、作品には彼自身や生霊、
守護霊のほか、その時の彼の心境や世界情勢を反映した言葉や物事などが描かれる。
こちらの作品はサイズも大きく、オリジナルの用語が溢れ、独自のルールにのっとって
描かれた絵や文字で隙間なく埋め尽くされた圧倒的な情報量が圧巻で、
その自由さと緻密さが魅力的な作品でした。
↑ 生まれつきのろう者で遠足などで乗るバスの車窓から流れる景色を観察し、
記憶を基に後で絵を描いている。
スケッチブックを繋げて車窓の景色を描くという手法、驚異的な観察力と記憶力に脱帽です。
↑ 無数の彩られた小さな四角や丸、三角の形で創られる世界。
いつも人がいないところ、人が見ていないところで描いているという。
一貫して同じモチーフを使いつつ、描き始めの頃は紙いっぱいに描かれていたものが、
時を経るにつれ少しずつ変化していき、独特な形で余白を残すような作品への変遷が
観ていて楽しく魅力的な作品でした。
既成概念や社会の枠組みに収まりきらないマクロな世界観を
ミクロな表現で自由自在に描かれた作品達を目にしたとき、
溢れ出てくるものをなんとか形にと、
表現せずにはいられないほどの没頭できる何かがあるということを
とても羨ましく思えたのでした。
画像では熱量や迫力がなかなか伝わらないのでやはり生で見るべきだとは思うのですが、
今回の展示は残念ながらもう開催期間が終わってしまっているので、
また機会があれば今度は期間中にお伝えできればと思います。
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