芸術の秋! 図工の話
デザイナーのタジです。
9月に入り、朝晩が大分涼しく過ごしやすい日が増えてきました。もう秋ですね。
みなさんは秋というと何を思い浮かべますか?
スポーツの秋?食欲の秋?色々ありますが、今日は「芸術の秋」ということで図工の話を。
図工の目標
私の好きな児童文学作家さんに岡田淳さんという人がいます。岡田さんは小学校の図工の先生が本業で、その傍ら児童文学を書いていたという一風変わった作家さんです。
エッセイを綴った著書の中で、岡田さんが目指していた図工の目標とは以下の3つだったとありました。
①絵を描くことやものをつくったりすることが好きになること
②あの人やるな、と思えること
③自分もやるな、と思えること
算数は「仕事をしたときに、その給料の勘定をごまかされないように」「いつの日にか豊かな人生を送れるため」にする実学だというのに対して、図工は「今を豊かに生きる実学」。
「いいぞ、いいぞ」「おれはよくやった」「あいつすごいな」とワクワクする体験をできるのが図工。それが今の豊かさであり、また将来の豊かさに繋がるものだ、と書かれており、なるほどと思ったものです。
そういえば、昔の教育テレビ(今のEテレ)の図工番組は「できるかな」一択でしたが、今は「デザインあ」「ノージーのひらめき工房」「キミなら何作る?」など複数あります。世の中的には「今の豊かさ」を広げる風潮なのかな?
図工を学ぶ時間は減っている?
ところが。知っていますか?中学校の図工(正確に言うと美術)の授業時間は昔に比べて減っているのです。
昔は一週間の時間割の中に必ず2時限通しの美術の時間があったのですが、今は週に1時限しかないのです。(年間の授業が35週のところ、35時限しかないのです)
図工=絵を描くこと、ではありません。
ものを作るときに
「どういう工程で作ったら完成できるのか」
「どうやったらもっとカッコ良くなるのか」
「この色とこの色を組み合わせたらどうなるのか」
などなど考えることは、図工とか美術とかの範疇を超えて、その後生きて行く上ですごく重要な気がします。
私は今も中学校のときの美術の先生と連絡を取っているのですが、以前会ったときに
「美術なんかいらないとか言う人いるけどさ、例えば将来就職してスーツ着たときにネクタイの色をどうするか考えるのも美術の応用なのよ。どれを選んだら印象が良くなるのか、とかね。そう考えると美術を勉強出来なかった人が将来困ることって結構あると思うのよね」と言っていたのが印象的でした。
図工でワクワク体験を
図工の取り組みにおけるワクワク体験、それは「自分」一人でできるものではなく、他に先生・友達・親など誰かが近くにいることによって成立します。
よくできたものは見てもらいたいし、迷ったときはアドバイスして欲しい。
「すごいね!かっこよくできたね!」と褒められることによってワクワク度は上がります。それでどんどんいいアイディアが出てきたり、自信がついてどんどん良いものが作れたり……そんな経験をみなさん持っていませんか。
コロナ渦でなかなか思うように出かけられない世の中。こんな時だからこそ、家の中で絵を描いたり工作したり、芸術の秋を楽しんでみてはいかがでしょうか。友達同士作ったものを持ち寄ってオンラインで品評会をしたら、いつもとは違うワクワク感が得られるかもしれませんよ。
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