ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンと私
WEBディレクター/デザイナーのヤスハラタカユキです。
デザイナーなら誰でも、色んなプロダクトや作品などを見て影響を受けながら、それを咀嚼して自分のものにする、というようなプロセスを踏みながら成長していくものだと思います。
自分も同じように、様々なものに影響されてきました。
以前書いたこちらの記事にあるリード・マイルスにも、パンクのレコードジャケットのコラージュにも影響を受けましたし、ほかにもたくさんのものに影響を受けて今の自分があります。
中でも大きく影響を受けたのがスイスデザインの大家、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンです。
ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンって誰?
ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンは1930頃から活躍したスイスのタイポグラフィ、グラフィックデザイナーです。
ちょっとおしゃれなアパレルで作品がTシャツに使われていたことがあるので、目にしたことがある人も多いかもしれません。
ブロックマンはグリッドシステムズという、デザインのメソッドを生み出しました。
グリッドシステムズというのは、グリッドに沿った配列により要素に秩序と、情報のわかり易さを与え、グリッドからあえて外した部分を作ることで秩序から外れた違和感をも生み出すことができる、デザインの手法です。
現代グラフィックデザインの基本的なメソッドといっても過言ではないかもしれません。
出典:Groomyplanets https://gloomyplanets.wordpress.com/2010/09/23/the-grid-system/
国立新美術館で開催中の佐藤可士和展の作品にも随所に見られます。
『Blue Note風ジャケットをデザインしてみる』の記事で作成したブルーノートっぽいジャケットを考える際にもグリッドを引いて作っています(だいぶ雑ですが)。
WEBデザインにおいては、グリッドデザインといわれてパッと思いつくのはbootstrapでしょうか。
モバイルファーストなレスポンシブデザインのフレームワークで、テンプレートを使い、グリッドに沿ったデザインが割と簡単に作れます。
ここらへんについてはまた今度。
迷ったときは、高い方を買っておけ
私は横浜生まれの横浜育ちなのですが、横浜には市民だけに有名な有隣堂という大きな本屋があります。
そこには洋書がたくさん売っていて、デザイナー気取りだった私はちょくちょく訪れてはデザイン関連の本を探していました。
その時出会ったのが、こちらの本。
確か25~6年前だったかな?
これは割と新しめの手頃な本。変型判でお高い万円の本もありましたが当時の私にはちょっと手が出せませんでした。
マジ後悔してる。
しかしこの本の中にはめちゃくちゃカッコいい作品が山盛りに載っていて、読み漁りました。
実は一冊ボロボロにしてしまったので、これは2冊めですw
有名所の作品をいくつか紹介します。
その後、色々調べてグリッドシステムズの本も買ったのですが、友人のデザイナーに貸したっきり返ってきません(笑)。
私が買ったものは英語のものでしたが、最近日本語で詳しく解説されたものが発売されました。
今度買っとこう。
整然と並んだ秩序の無秩序
ところでグリッドに沿ったデザインをすると、整然と並べただけになってしまいがちなものです。
だけどブロックマンのデザインはただそれだけに終わりません。
グリッドを見ると理論立てした位置に要素が収まるべくして収まっているのですが、何故かその要素がとても目立って見えたり、グリッドから外れたもののように見えたりします。
もはや理論というよりはセンスとしかいいようがないのですが、ホワイトスペースの大胆さとポイントになる要素の関係が絶妙です。
それでいてグリッドシステムズの秩序からは逸脱していないというのがキモです。
これに私はものすごく影響を受けています。
目に焼き付けて自分のものにしようと努力をしましたが、なかなか難しいですね(笑)。
先人の偉大な資産を受け継いでつないでいきたい
このようにして私はヨゼフ・ミューラー=ブロックマンに影響を受けてきたわけですが、私と一緒に仕事をした若いデザイナーたちにも事あるごとに「この空きと配置の大胆さを勉強したほうがいい」と教科書のように作品集を貸し出しています。およそ50~60年も前に活躍していたしたデザイナーの作品ですが、色褪せないどころか輝きを増しているようにすら思います。
この記事を書いてみて、デジタル時代にも十分活かせる、それどころかむしろマッチしてるグリッドシステムズをWEBデザインに活かせるように精進していかなきゃなぁと思い直した次第です。
それではまた。
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