音フェチ語り。音が聞こえてきそうなデザインとは
デザイナーのm.k.です。
私はちょっとした音フェチです。
少し前に、食べ物の咀嚼音や食材を切ったり鍋で煮込んだり焼く音を
延々と流すASMR動画等がはやり、
人の理解を得やすくなった上に説明の手間が省ける、
良い時代がきたな、とほくそ笑んだものです。
木の下駄で砂利道をコキュコキュと(文字での音の表現が激難しいのでうまく伝えられない歯痒さがあります)響かせて歩く音だったり…が好きで、
いい音をさせている人には靴底の素材確認をしたり、
浴衣に合わせる下駄は、昨今ゴム底が大半を占める中、
木の素材のものを探し求めてオーダーメイドしたりしたものです。
雨の音もいいものです。
様々な効果音を収録したCDも一時期愛聴していました。
↑ 弊社ギャラリーの床。社員総出で一つ一つ敷き詰めたレンガが歩くとなんとも言えない
いい音を奏でます。
音フェチ視点の映画鑑賞
映画の効果音も印象に残るものです。とくに昔の作品に多くあるように感じます。
たとえば、効果音の馬の蹄の音など
リアルな音に近づけるべく技法を駆使してあみ出された音は
リアルを超えた魅力があります。
「冒険者たち」というフランス・イタリア合作映画をご存知でしょうか。
クライマックスの舞台となる、海にポツンと浮かぶ廃墟の要塞島も魅力的ですが、
石畳みを駆ける時の靴音や銃の発砲音がとにかく絶妙。
いまだに余裕で脳内再生できるほど良い塩梅の癖になる音なのでした。
映画「美しき諍い女」も全編いい音を醸し出している逸品です。
4時間にもわたる大作映画ですが、
そのほとんどが長回しで黙々とデッサンする様が描かれています。
(実際の画家のデッサン映像のようです)
その所作と咳払い、息づかいも相まって鉛筆と紙が擦れる音や紙をめくる音、
瓶から水を注ぐ音、木の扉を閉める軋んだ音に引き込まれるのです!
こちらはリアルな生活音ですが、魅力溢れた音なんですよね……。
文章ではほとんど良さが伝わらないのが残念です。
デザインで音を生み出す
↑ 木の床の学校。上履きではなく革靴で歩いてみたい
ここで我にかえったようにデザインについても触れておきます。
デザインで音や匂いをダイレクトに表現することは、なかなか難しいですが、
音が聞こえてきそうな、リズムのような躍動感あるデザインというのは存在すると思います。
楽しげに、ワクワクさせるようなデザインを、というオーダーを受けることもあり、
そのようなデザインの引き出しを一段持ちたいと思いながらも、
なかなか会得が難しいのです。
感覚の分野での技法なのかもしれませんが、
音が聞こえてきそうなデザインにたどり着くべく日々修行の毎日です。
0コメント